Androidユーザーかつ、Apple WatchでもWear OSでもないスマートウォッチばかり使ってきたユーザーとしての筆者のファーストインプレッションを述べていくと、まずコンパニオンアプリの出来は悪くない。情報の一覧性はあるし、例えば一日を通しての心拍数の細かい変化も見やすい。少なくとも、これまで筆者が使ってきたスマートウォッチのコンパニオンアプリと同じレベルの使い勝手はあるように感じる。Google Playでの評価も51万件のレビューで平均4.6と高評価だ。
ディスプレイが有機ELであることは人によって評価が分かれるだろう。有機ELは屋内では鮮明に表示できる一方で、腕時計が活躍しそうな屋外・直射日光下では暗く感じてしまうこともある。バッテリー消費や焼き付きの面からも常時表示には向かない。
一方、Pebble TimeやAmazfit Bipといった製品が採用している反射型メモリ液晶ディスプレイは、有機ELほど鮮明な表示はできないが、外部の光が強いほどはっきりと表示できる。表示によるバッテリー消費も少ないため、これを採用しているスマートウォッチは基本的に時間を常時表示できる。電子ペーパーと違ってアニメーション表示ができるのもメリットだ。
反射型でない有機ELなどのディスプレイを採用しているスマートウォッチは「人が見ているときだけ画面をオン、それ以外はオフ」という切り替えをすることでバッテリー消費を抑えているが、「人が見ているか」という判断をするアルゴリズムが賢くないとユーザーはいら立ちを覚えることもある。Apple Watchは有機ELながらSeries 5で常時表示に対応したため、この点については改善されてはいるが、常時表示だとやはり稼働時間は短くなってしまうようだ。
Venuを1日使ってみた感じでは、座ったり立っていたりする場合には少し腕を顔の方に傾ければ画面を表示してくれるが、例えば寝転がったときに顔の前に腕を持ってきても画面は点灯しないことが多かった。
腕時計の時間はシーンによっては、あからさまましぐさをしないで見たいときもある。そういう場合にVenuがどこまで時間を表示してくれるのかは長く使ってみないと分からないが、時間を常時表示できるメモリ液晶ディスプレイ搭載製品には及ばないだろうというのが筆者の見立てだ。
なお、時間を常時表示できるSuica対応Garmin製品としては、メモリ液晶を搭載したフラグシップモデルの「fenix6」(10万5000円)やVenuより1万円安い「vivoactive 4S」(3万9800円)、有機ELの上にアナログの文字盤を備えた比較的廉価な「vivomove Style」(3万6000円)などがある。何を重視するかによるが、Venuの他にこれらのような選択肢があることも覚えておきたい。
繰り返しになるが今回試用した範囲においては、Venuが他のスマートウォッチに比べて明確に劣っているようには思わなかった。筆者的に重視している「バッテリー駆動時間」「ディスプレイ」「スマートフォンの通知の確認」「コンパニオンアプリを含めた操作性」といった点のうち、ディスプレイ以外は満足いく製品だといえそうだ。
ディスプレイに関してはシリーズの中で有機ELでもメモリ液晶でも、あるいはアナログ文字盤とのハイブリッドでも選べるため、それらも検討したいが、モデルごと変わるとなれば、機能の差異や操作性なども再評価する必要がある。
これらの機能の上にさらにSuica決済機能があるとなれば、少なくともAndroidスマートフォンとの使用では貴重な選択肢になるだろう。あとはSuica定期券に今後対応してくれることを期待したい。
ただ、Garminのスマートウォッチはシリーズを通して価格帯が高めであることは気になる。Apple Watch Series 5のベースモデルが4万2800円であることを考えればVenuやvivoactive 4Sなどは同じ価格帯であるともいえるが、例えば2週間のバッテリー駆動時間をうたう「HUAWEI WATCH GT2(46mm)」は約2万5000円だし、メモリ液晶や光学式心拍計を備えるAmazfit Bipは約1万1000円とさらに安い。
さまざまな価格のスマートウォッチがさまざまなメーカーから出ている中で、「別にSuica決済できることはそこまで重要でない」というなら、正直にいって他にも選択肢はある。
Apple Watch程度の価格感で、Suica対応を含めた高機能なスマートウォッチを求めているのなら、Androidスマートフォン/iPhoneユーザーともに検討してみたい製品だ。
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