米中の対立がこれまで以上に深まっている。
もともとドナルド・トランプ大統領が貿易赤字の解消を狙って、中国への「貿易戦争」を激化させたのは2018年3月のこと。その後、関税合戦やビジネスの分断などで大騒動になっていたが、今年1月には少し歩み寄りの兆しを見せていた。米中貿易交渉の第1段階の通商合意が締結されたのだ。
だが、である。合意した矢先のタイミングで、新型コロナウイルスが中国から拡大し、未曾有の事態が世界を襲ったことで、米中が再び火花を散らし、第1弾合意にも暗雲が垂れこめている。
とにかくトランプ率いる米政府は、中国脅威論を煽りながら、11月に迫った米大統領選に向けて有権者の支持を得ようとしている。ちなみに最近の世論調査では、米国人の3分の2が中国に悪いイメージを持っていると答えている。トランプ政権になってから、米国人の対中イメージは実に20%も低下しているのである。トランプはそういった層にアピールをしている。
中国の脅威を煽りながら自らの利益を追求しようとしているのは何もトランプだけではない。実は、米IT界の超大物であるGoogleのエリック・シュミット元会長もまた、今その路線を突き進んでいる。その舞台は「AI(人工知能)」だ。
シュミットがトランプ同様に中国を利用しているのは確かだが、彼が目標としているのは「AI」や「5G」をどんどん推進することであり、AI時代に中国に対して抱く危機感には説得力がある。実はこの問題は、日本でも「スーパーシティ」構想として、国会だけでなくTwitterなどで最近話題になっているものとも関係がある。一体シュミットは何に危機を感じているのか。
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