世界のスパム流通量が突然激減、その理由は?

10月3日、世界のスパム流通量が突然激減した。その背景にあるボットネットの現状について、Symantecが分析している。

» 2010年10月07日 08時02分 公開
[ITmedia]

 世界各国で大量に出回っている迷惑メール(スパム)の流通量が、10月に入って一時的に急減した。その理由とスパムの現状について、米Symantecが10月6日付のブログで分析している。

 それによると、先週のスパム流通量減少は多くのセキュリティ関連企業が伝えていた。特に10月3日は著しい減少が見られ、一時的に過去最低のレベルにまで落ち込んだという。しかし、週明け以降は元のレベルに戻っている。

過去1年間のスパム流通量の変化(Symantecより)

 スパムは過去数年で流通量が増え、Symantecの推計によれば2010年には世界で1日あたり1000億〜2000億通が出回っている。こうしたスパムのうち、80〜90%はボットネット経由で送信されている。ボットネットとは、マルウェアに感染させて攻撃者が遠隔操作できるようにしたPCのネットワークのこと。現状では10〜12の大手ボットネットが存在し、そのうち巨大勢力が2〜3あるという。

 3日にスパムが急減した主因は、こうした大手ボットネットのうち、「Rustock」と「Cutwail」からの送信量が減ったことによるとSymantecは分析する。

 Rustockは過去2年で急激に勢力を伸ばしてきた巨大なボットネットだ。今年6月の時点で、全スパムのうち約4割がこのRustockから送信されていたという。一方Cutwailも、常にスパム流通量の5〜10%を占める大手ボットネットだった。

主要なボットネットの能力比較(同)

 Symantecが調べたところ、Rustockは3日になって一時的にスパムの送信を停止し、Cutwailからの送信量も減少していたことが分かった。このタイミングは、スパム流通アフィリエート組織の「Spamit」が閉鎖されたというニュースが流れた時期と一致するという。

 Spamitは、「Canadian Pharmacy」の名で偽医薬品宣伝のスパムを大量に流していたアフィリエート。その閉鎖が原因となってRustockとCutwailからのスパム送信量が減り、特に医薬品スパムへの依存度が高かったRustockが大きな影響を受けたとSymantecは分析している。

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