KDDIが、6月27日の発売が決定した「misora」のタッチアンドトライ会を開催。これまでに発売した「iida」ブランド製品の反響や、misoraのコンセプトについて説明した。
KDDI コンシューマ商品統括本部 サービス・プロダクト企画本部長の増田和彦氏は、あらためてiidaブランドのコンセプトを説明。「これまでのau design projectは先進的なデザインにフォーカスした新しい切り口で商品を提供してきた。現在は、携帯電話市場が飽和しつつある中で、ニーズも多様化している。iidaは先進的なデザインを核としつつも、『カワイイ』『手ざわり』『遊びゴコロ』『愛着』といった領域にも広げることで、新しい世界観を提供することを狙った」
さらに同氏はこれまでに発売したiidaモデルにも触れ、「4月に発売した『G9』は発売から2週連続でauケータイの総販売数で1位を獲得した。『MIDORI』も発売後1週間で完売した」と好調ぶりをアピールした。
iidaケータイのセカンドモデルとなる「misora」は「上質なデザインの中にも、人の心地よさ、エモーショナルな部分に訴える製品に仕上がった」と、これまでのデザイン志向の製品とは一線を画すと説明。misoraのターゲットは「積極的にシンプルなものを志向するユーザー」で、「電話とメールがあれば十分」という30代の女性が主な層となる。
MIDORIをはじめとする周辺アイテムについて増田氏は「G9とMIDORIは斬新な組み合わせだった。このMIDORIは過半数の方にポジティブな評価をいただいている」と話した。こちらも好調に支持を獲得しているようだ。
さらに、misoraの世界観を引き立てる、iidaブランドの新たな周辺アイテムとして「AROMA STRAP」を発売する。「このストラップにはオリジナルのアロマを調香しており、香も含めてmisoraの世界観を感じてもらうのが狙い」だという。
KDDI プロダクト企画部 デザインプロデューサーの小牟田啓博氏は、KDDIのデザインに対する取り組みや、misoraのコンセプトについて説明した。
「2000年以降からデザインを1つのキーワードとして製品を手がけ、『INFOBAR』や『talby』などを開発してきたが、当初はデザインのニーズが固定化されていた」と同氏が話すように、au design projectでは“尖った”デザインに注力していた。「どうやってデザインを展開していくかの回答が、iidaへのブランド化だった。ビジュアルだけがデザインではなく、コンセプトや商品像、サービス像も含まれる」と話し、デザインの定義が変わりつつあることを強調した。
misoraはシンプルなデザインを目指したモデルだが、「テイストとしてのシンプルさだけでなく、“おわん”や“石けん”のように、生活をしていく中でのシンプルさを追求した」(小牟田氏)
「おわんを格好いいから買うという人はあまりいない。熱湯寸前の熱いものを、毎朝毎晩おわんで口に運ぶ行為をするときに、人間の手が知っている心地よさというものがある。また、日々自分の体を清潔にする石けんには使い込んだ形跡が残り、翌日自分を迎えるというコミュニケーションがなされる。『使った形跡が形状になること』を徹底的に追求することで、使うことの本質的な心地よさにつながると感じた」(小牟田氏)
そんな“心地よいカタチ”を具現化したmisoraは、「ビジュアル的なインパクトを求めたわけではなく、触って気持ちよく、飽きない。常に近距離で接し続けるという距離感」が演出されている。「キーも尖った異質感を強烈に感じることはなく、すっと指がいくオーソドックスな配列にした。カラーや質感も同様で、手垢が残らないよう、光沢や艶などの処理は施さず、使った形跡が気にならないよう処理した」(小牟田氏)
misoraのデザインは、TOTOで衛生設備やシステムキッチンなどのデザインでも知られる、Kom&Co.Design デザインプロデュースの迎義孝氏が手がける。小牟田氏は同氏を起用した理由を「(迎氏がこれまで注力してきた)生活者が心地よく住まうこと、生きること、衣食住に向かうことのアプローチが必要だったため」と話した。
misoraが採用するプラットフォームは「KCP」で、高いスペックを目指したわけではない。小牟田氏は「misoraの世界観に合致するスペックを審議して決めた」と説明。また今後のiidaモデルについてに増田氏は「シンプルとハイスペックのいずれかに偏ることはなく、さまざまな方向性に広げていく。先進的な機能を取り入れたモデルもラインアップする」と予告した。
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