「年末まで熱くなればいいね」――USB 3.0＆SATA 3.0マザーがゆるやかに拡大中：古田雄介のアキバPickUp！（1/4 ページ）

[古田雄介＆ITmedia アキバ取材班，ITmedia]

USB 3.0は「まだ燃料がちょっと足りないかも……」

　P55マザーに続き、先週からUSB 3.0＆SATA 3.0対応のX58マザー「GA-X58A-UD7」とAMD 790FXマザー「GA-790FXTA-UD5」が店頭に並んでいる。価格は順に4万円前後と2万3000円前後だ。初入荷としては比較的潤沢に在庫している。

　GA-X58A-UD7は、SLIとCrossFireXに両対応するPCI Express x16スロットを4基備えたATXマザーで、標準搭載のチップセットクーラーを水冷システム取り込める仕様となっている。DDR3スロットは6基。GA-790FXTA-UD5はCrossFireXに対応するPCI Express x16スロットを3基備えており、DDR3スロットは4基載せている。CPUソケットはSocket AM3だ。

　いずれも、P55マザー以外で初のUSB 3.0＆SATA 3.0対応マザーとなるが、注目度の高さと相反して目立った売れ行きはまだ見えていないという。クレバリー1号店は「USB 3.0＆SATA 3.0対応のP55マザーも初回の勢いが一旦止まった状況で、様子見のユーザーが多い状態です。今あせって入手しなくても、そのうちラインアップが増えるというのもありますからね。あとはUSB 3.0とSATA 3.0の対応アイテムのどちらかが充実しないとアピール力も強くならないでしょう」と冷静に分析していた。

　一方、TSUKUMO eX.は新マザーの潜在能力の高さを評価している。「GA-X58A-UD7はコンシューマー向けとして最強最新の構成が組めるモデルです。どんなものでもナンバーワンは需要があるので、放っておいてもそのうちヒットするでしょう。GA-790FXTA-UD5はSocket AM3環境でUSB 3.0＆SATA 3.0が使えるというのがミソ。P55系とは違って両コントローラーがノースチップ側とつながっているので、新規格の潜在能力をフルに発揮できるのが魅力です。それに気づく人が増えれば、間違いなくヒットすると思いますよ」と話していた。

　ただし、マザーボード以外のところでは売れ行きの変化が表に出ている。顕著なのは外付けHDD関連アイテムだ。先週センチュリーから、内蔵HDDを直差しできるHDDクレードル「裸族のお立ち台」シリーズの3モデルが登場。2.5／3.5インチのSATA HDDを1台挿せるUSB 3.0対応の「裸族のお立ち台USB 3.0」と、2.5／3.5インチのIDE／SATA HDDを1台挿せるUSB 2.0対応の「裸族のお立ち台 IDEプラス」、同様のスペックでUSB 2.0／eSATAに両対応する「裸族のお立ち台 IDEプラスeSATAコンボ」で、価格は順に8000円弱、5000円弱、5500円弱となっている。このうち、裸族のお立ち台USB 3.0とIDEプラスeSATAコンボが売れているとの話を複数のショップで聞いた。

　パソコンハウス東映は「USB 3.0の登場で高速な外付け環境を求める動きが強くなったのか、eSATA関連アイテムも結構好調に売れています。USB 2.0ではもう遅いという感覚が出てきているのは大きいでしょうね。でもUSB 3.0対応モデルは数が少ないから、それならeSATAだという流れはあるんじゃないでしょうか」と話していた。

　また、従来のマザーボードにUSB 3.0＆SATA 3.0機能を追加できるASUSTeKのPCI Express x4カード「U3S6」も好調に売れているようだ。価格は5000円弱。ドスパラ秋葉原本店は「マザーボードを乗り換えるより安上がりですから、興味がある人に好評です」と語っていた。

　プチヒットが散発している状況に、あるベテラン店員氏は「石油ストーブが徐々に熱くなっていく感じですよ。年末までにUSB 3.0＆SATA 3.0の環境がある程度整えば、一気にブレイクする可能性を秘めています。ただ、冬のボーナスを期待するにしても、今年はちょっと全国的に厳しいみたいなんですよね……。なかなか不安要素が省けないですが、それはいつものことです」と、温かい目で見守っている様子だった。