ユニクロが求めたデータ分析の要とは?アイティセレクト特選事例(1/2 ページ)

販売点数が4億点を超えるユニクロ。膨大なデータをストレスなく解析する秘策とは。

» 2007年07月24日 07時00分 公開
[アイティセレクト]

導入前の課題

年間販売点数4億点にのぼるユニクロの業務執行現場では、アイテム数の劇的な増加によって、販売チャネル別、部門別、色やサイズ別などの切り口によってデータを参照することが難しくなっていた。


導入後の効果

業務執行部門において、売り上げ、粗利、在庫に関わるデータをさまざまな切り口で参照でき、しかも、これをストレスなく実行できるようなった。製品開発、販売予測、在庫管理などに威力を発揮し、最終的にはビジネスプロセスの変革にもつなげた。


 ユニクロをはじめ、ファッション関連企業を傘下に収めるファーストリテイリングは、2010年のグループ売上高1兆円構想を掲げ、国内における既存事業の拡大はもとより、新規事業の模索、海外事業の拡大に積極的に取り組んでいる。グループで中軸となるのは、カジュアル衣料専門店のユニクロ。その経営基盤を支える情報システムが「G4システム」だ。

「G4システム」イメージ

 フリースブームをきっかけとした急激な事業規模の拡大や、英国、韓国、中国、米国などへのグローバル展開、そして、年間で2000品種、色、サイズ別の組み合わせによっては、この20〜30倍にものぼる商品アイテム数の増加によって管理が複雑化。こうした「成長」と「変化」に対応するため、01年から新基幹情報システムとして「G4システム」の導入プロジェクトをスタートし、製品企画、発注、素材調達、縫製、物流、販売、在庫管理までをトータルにサポートするシステムとして、同社の躍進を下支えしている。

現場の意思決定にBIツールを導入

 ファーストリテイリングの岡田章二執行役員グループCIOは、「情報システムはあくまでもツール。目的は、情報システムを導入することではなく、システムによって、ビジネスモデルを変え、取引先との関係を強化し、ユーザーに優れた製品を提供すること」と語る。「システム=プロセス変革のためのツール」との考え方が、同社の情報システムをより戦略的なものに高めている。

ファーストリテイリング 執行役員グループCIO、岡田章二氏

 G4システムには、海外の大手小売業で多くの導入実績があったRetek(現在のOracle Retail)をERPとして採用。このRetekのサブシステムの一つとして提供されていたのが、BIツールのMicroStrategyであった。もともとファーストリテイリングおよびユニクロでは、ポータルによる数値管理体制を導入している。全社員が日次、週次、月次の売上在庫情報を確認できるよう、デスクトップポータル上に基本情報を常に表示し、共有している。

 しかし、その一方で、組織や階層によって、情報を使い分けるといった手法も導入している。グループ経営層には、グループの収益性の追求や、経営の安全性、健全性を求めるための情報が必要となることから、グループ経営指標管理といった枠組みのなかで、グループ経営に必要な情報を提供。また、事業経営層には、事業会社の収益性および、事業会社の計画・実行に関する情報を提供し、グループ経営指標管理の提供とともに、マネジメントビューと呼ばれる定型帳票による情報がもたらされる。

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