第1回 大規模震災発生、事業継続7つの要点東北地方太平洋沖地震からの復興 ── リスク管理、危機管理、そして復旧(1/4 ページ)

東北地方太平洋沖地震の危機に直面し、これから事業継続・復旧対応を進める企業の一助になればとITmedia エンタープライズ編集部では危機管理の専門家に連載をお願いした。初回では、重要な事業継続上のポイントを7つにまとめた。

» 2011年03月14日 14時40分 公開
[戸村智憲,ITmedia]

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 2011年3月11日(金)に発生した東北地方太平洋沖地震において、北海道から関東全域にわたる広範囲で被災された方々のご無事とともに、亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈りいたします。

 わたしは1995年の阪神・淡路大震災を大阪で経験し、災害の怖さを身を持って体験していた。しかし、今回の地震はマグニチュード9.0という日本の観測史上最大のもので、10メートル以上の大津波に加えて、東京電力・福島第一原子力発電所における炉心溶融など、これまでには考えられなかった甚大な被害を及ぼしており、改めて日ごろの備えと心掛けの重要性に気づかされた。震災後の余震や新たな災害に備えるとともに、早期復旧に少しでもお役に立てればと、連載の筆をとろうと考えた。

 わたし自身は、東京・大田区のオフィスが耐震性の高い建物であり、日ごろから2週間分の食糧・水・薬品・生活物資・自家発電機などを備えていたため、不幸中にもダメージが少なくて済んでいる。

 相次ぐ緊急地震速報と大きな揺れの中でも、怖さの中に明かりが灯り、テレビの情報が得られる安心を感じるとともに、毛布で暖をとることすらままならない被災地の方々を考えると、心苦しい思いで手を合わせるしかない。

都内オフィス街では危機管理上の基本的な問題も

 先ず、震災当日の東京都内を見ると、大手企業はBCP(事業継続性プラン、またはプログラム)のためか、多くの社員がヘルメットを着用してビル外に避難していた。突然のことに落ち着かないのか、ビルの真下やビルとビルの間にある路地でタバコを吸っているビジネスマンもいた。

 しかし、大きな地震は余震を伴うため、ガラスの破片が落下したり、ビルとビルの間では外壁が落下してケガをするなどの危険性がある。また、ガス漏れの発生があり得るのでタバコは避けた方がよい。今回の地震では、残念ながら、危機管理上のごく基本的な問題がそこかしこに散見された。確かに、BCPによる危機管理体制の整備は重要だが、危機対応にあたる個々人の危機感が希薄では、形骸化したものとなってしまう。

 また、これまでBCPが十分に策定できていなかった企業や医療福祉機関などでは、これを機にBCPづくりに取り組まれることを勧めたい。BCPの策定は、何もコンサルタントを頼らなくとも、中小企業庁がBCPガイドやフォーマットを公開している。お金をかけなくても、これならステップを追って策定できる。ぜひ参考にしていただきたい。

 震災発生が金曜日だったため、多くの方が、いわゆる「帰宅難民」となってしまった。しかし、その一方で、週明けからの業務上の対応には心理的にやや余裕ができたのかもしれない。

 これから事業継続・復旧対応を進める企業のために、重要な事業継続上の要点を7つにまとめてみた。

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