Android対iPhone、ファンにとっては「あばたもえくぼ」

iPhoneもAndroidもメディアに賞賛されているが、両者の欠点を指摘する人もいる。確かにiPhoneもAndroidも完璧ではないが、ファンは欠点をそれほど気にしていないようだ。

» 2011年01月20日 15時00分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 メディアはものすごい時間をかけて、Appleの“何をしても許される”iPhoneやGoogleの最新のハイエンド端末などのスマートフォンを褒めそやしている。

 おそらく、Verizon Wirelessが提供するiPhone 4GoogleのSamsung Nexus Sに対する称賛の嵐にうんざりしてのことだろうが、一部の向きはそうした高い評価とは反対の見解を示している。

 まずはNew York Times紙のジョー・ノチェラ氏だ。Appleの最高執行責任者(COO)ティム・クック氏が1月11日のVerizon iPhone 4の発表イベントにおいて、Verizonの4G LTEネットワークに対応したiPhoneを提供しない理由について、Appleは「デザイン上の妥協」をしたくないからだ、と発言したことに言及し、ノチェラ氏は記事に次のように書いている。

 Appleは決してデザイン上の妥協はしない。Appleは代わりにユーザーに妥協を強いるのだ。それでもユーザーは常にそうした妥協に寛大だ。そうすれば、自分は地球上で最もクールな製品を所有していると胸を張れるからだ。

 ノチェラ氏に言わせれば、iPhoneはデザインがエレガントで、美しく、そして何よりAppleのiPhoneという最強のブランド力があるとはいえ、まるで「通話など知ったことではない」とばかりに通話は途中で途切れ、メール操作を楽にしてくれる物理キーボードもないし(その点、Blackberryはいいよね!)、バッテリー駆動時間も短い。

 わたしの妻はiPhone 4を持っている。AT&Tが販売していたiPhone 4だ。このiPhone 4はわたしが妻に買ったのだが、それは彼女に言われたからでもあるが、そうすれば自分がテストするGoogle Android端末の一群との格好の比較指標になるだろうと考えたからでもある。

 ここコネチカット州フェアフィールド郡では、今のところ妻もわたしもiPhoneで通話が途切れやすいというようなことは経験していない。

 バッテリー駆動時間は確かに短い。だが物理キーボードがないことについては、本当は文句は言えないはずだ。だって、もしAppleが物理キーボードを提供していたとすれば、皆が崇拝しているあのエレガントでしゃれたデザインを台無しにしていまっているだろうから。

 もう一度言うが、Appleは「デザイン上の妥協」はしないのであり、残念ながら、物理キーボードを搭載すればどんな端末であれ不細工に見えてしまいがちだ。

 もっともノチェラ氏が指摘しているのは、iPhone 4は決して完璧ではなく、巷ではiPhoneの話題で持ち切りだが、世界の何十億人という携帯電話ユーザーは選択肢を求めているということだ。例えば、Android、RIM Blackberry、そしてWindows Phone 7といった、iOS以外をベースとしたスマートフォンプラットフォームだ。

 だがInstapaperの創設者であるマルコ・アーメント氏は自身のブログにおいて、AndroidはAppleのiPhoneとはまさに正反対の問題に苦しんでいると指摘している。同氏によれば、消費者にあまりに多くのハードウェアの選択肢が与えられていることで、そもそもAndroidプラットフォームとはどういうものなのかということを端的に示すのが難しくなっているという。

 iPhoneにはAppleが提供する単一のユニバーサルなブランドであるという利点がある一方で、Android端末は大群だ。

 Android端末だとすぐに判別できるブランドとしては、VerizonのDROIDシリーズが一番だろうが、残念ながら、恐らくこのシリーズはVerizon iPhoneの登場による影響を受けることになりそうだ。

 「オタクでもなければ、個々のAndroid端末を個別に把握している人はほとんどいない。Android端末はあまりに頻繁に変化があり、あまりに数が多いため、どれか1つの端末がそれなりの規模で話題になるようなチャンスはほとんどない。誰も行列に並んでまでAndroid端末を買おうとはしない。CNNがAndroid端末の発売をニュースで取り上げることもない。消費者情報誌Consumer ReportsもAndroid端末のアンテナを熱心にテストしたりはしない。コメディニュース番組のDaily ShowもAndroid端末をネタに笑いを取ろうとはしない。だから大衆市場が個々のAndroid端末に反応することなどないのだ」とアーメント氏は指摘している。

 すべてもっともな指摘だ。とは言え、実際のところ、この問題はAndroidの成長をそれほど阻害していないのではないだろうか? どうやら、世の中には変わり者がたくさんいるか、あるいはマーケティングがよほど優れているのだろう。Androidは米国の市場シェアでiPhoneを上回っている。

 Android端末の販売の勢いは実際、旺盛だ。だがアーメント氏は単にこのモデルが気に入らないのだろう。同氏は、SamsungがGalaxy SのAndroid 2.2へのアップグレードを故意に先延ばしにしたとされていることなど、Android端末のハードウェアとソフトウェアの互換性の問題を幾つか指摘している。

 こうしたマイナスの話題については、知っている人も気に留める人もほとんどいない。

 アーメント氏の主張が間違えているのは、その点だ。同氏の考えでは、Androidの欠点を皆で心配すべきだということなのだろうが、何しろAndroidは大群だ。現実には、Androidの欠点を心配している人はほとんどおらず、大半の人たちはAndroidやキャリアやハードウェアパートナーに何か不備があっても大目に見ているのが実状だ。

 その断固とした姿勢は、Appleファンが自分たちの愛する端末のわずかな欠点など気にも留めず、あるいは否定さえしようとする姿勢と何ら変わらない。

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