WindowsタブレットがiPadキラーになるために必要なことは?

MicrosoftはCESでARMベースのWindowsを発表し、本格的にタブレット市場参入を計画しているとみられている。だが、iPadに対抗するためにはWindowsを根本的に変える必要があるとアナリストは主張する。

» 2011年01月17日 12時52分 公開
[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK

 米Microsoftは今年のConsumer Electronics Show(CES)で、次期WindowsはARMベースのシステムで稼働すると発表した。理論的には、このOSを従来より小さくて軽いフォームファクタに押し込めるようになるということだ。だが、少なくとも1人のアナリストが、タブレット市場で米AppleのiOSや米GoogleのAndroidと張り合うつもりであれば、MicrosoftはWindowsを根本的に変える必要があると主張している。

 米調査会社IDCのアナリスト、アル・ヒルワ氏は1月13日付のeWEEK宛てのメールに次のように記している。「Windows搭載タブレットはノートPCやNetbookに取って代わることにある程度成功するだろう。つまり、Windowsタブレットは第2、第3の端末を購入するためのコンシューマーの金をAnroidタブレットと奪い合うことになる。だが、これらのタブレットはiPadの敵にはならない。なぜならこれらにはiPadの持つ滑らかで平易なユーザーインタフェース(UI)や豊富なコンテンツが欠けており、重量やバッテリー持続時間でさまざまな妥協をしているからだ」

 Microsoftは1月5日、Windowsの次期版でシステム・オン・チップ(SoC)設計をサポートすると発表した。具体的には、米Qualcomm、米NVIDIA、米Texas Instruments(TI)といったパートナー企業のARMベースのシステムだ。現在、Windowsは従来PCで使われてきたx86プラットフォームを支配しているが、スマートフォンやタブレットなど、主にARMのプロセッサ設計を採用する高性能なモバイル端末が台頭してきたことが、数十年来のWindows OSの特権的立場に機会と脅威の両方をもたらした。

 「Windows版の実用的なタブレットを作るには、MicrosoftはこのOSの改良に1、2年かける必要がある」とヒルワ氏は書いている。「タッチ式UI、バッテリー持続時間、起動速度の向上、混乱の少ないOSアップデート、スマートフォンに備わっている近接、位置、運動、方向などのセンサーのハードウェアでのサポートなどが必要だ」

 だが、少なくともハードウェアレベルでは、Microsoftはフォームファクタ小型化をめぐる戦いの準備に入っているようだ。同社のWindowsおよびWindows Live部門の社長を務めるスティーブン・シノフスキー氏は1月5日の記者会見で、ネイティブなARMアーキテクチャでほとんど遅延せずに稼働するWindowsをデモした。しかしシノフスキー氏はまた、この新アーキテクチャを完成させるには幾つかの問題を解決する必要があり、「x86プログラムはARMで稼働しない」と語った。

 それでもなお、ARMはWindowsの未来にとって欠かせない要素になるだろう。

 ヒルワ氏は「これは、Microsoftにとって大きいが必要な賭けだ。この賭けでMicrosoftは事実上、自ら招いたPC市場の分裂と取り組まざるを得なくなる」と付け加えた。「多くの人がこの決断をあまりにも小さく、遅過ぎると考えている。私は、Microsoftが(Windows Phone 7ベースの)よりシンプルなタブレットもそろえるだろうが、最終的にはPCを進化させる必要があると考える」

 CES会場のMicrosoftブースにはWindows 7が稼働するタブレットが数台展示されていたが、ほとんどはアジア市場向けのようだった。同社のスティーブ・バルマーCEOは5日の基調講演で、タッチスクリーン機能や小型フォームファクタに対応するWindowsを搭載したノートPCの紹介に心を砕いたが、期待されていたタブレットに関する大きな発表は行わなかった。

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