「Web 2.0」の企業利用の懸念はセキュリティ――経済的損失は平均200万ドル

McAfeeは、ソーシャルメディアなど「Web 2.0」アプリケーションの企業利用のメリットとセキュリティに関する調査レポートを発表した。

» 2010年09月27日 19時07分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 米McAfeeは9月27日、企業の「Web 2.0」アプリケーション利用に対するセキュリティ意識の実態をまとめたレポート「Web 2.0―利用メリットとセキュリティリスク」を発表した。多くの企業が生産性向上といったメリットを挙げる一方、セキュリティを懸念している状況が明らかになった。

 調査は同社が米パデュー大学に委託して実施したもので、世界17カ国1000人以上の企業の意思決定者から回答を得た。ソーシャルメディアやミニブログ、Webメール、コンテンツ共有ツールなどをWeb 2.0アプリケーションとしている。

 それによると、75%はWeb 2.0アプリケーションの利用によって新たな収益源を創出できたと回答し、40%は生産性の向上や効果的なマーケティング戦略の展開に効果があったと答えた。Web 2.0アプリケーションの導入率は、ブラジルやスペイン、インドで高く、カナダやオーストラリア、米国、英国、日本では低いとしている。

 半数はセキュリティをWeb 2.0の懸念点に挙げた。企業が認識している具体的な脅威としては、「悪意のあるソフトウェア」(35%)、「ウイルス」(15%)、「情報の過剰な暴露」(11%)、「スパイウェア」(10%)などだった。また、60%はWeb 2.0アプリケーションの不適切な利用によって生じる最悪の結果に、評判やブランド、信頼、顧客の損失を挙げた。

 Web 2.0のセキュリティ問題によって生じた被害額は、1社平均で200万ドルになり、最も被害額が高かったのは日本の300万ドルだった。回答者の3分の1は、ソーシャルメディアの利用に関して予定外の投資が行われたと答えた。従業員による機密情報の漏えいによって訴訟などの法的な脅威に直面したとの回答も目立った。

 回答企業の13%はWeb 2.0アプリケーションの利用を全面的に禁止しており、81%は利用できる種類を1つに制限していた。

 調査結果についてMcAfee 最高技術責任者 ジョージ・カーツ氏は、「Web 2.0技術は仕事の方法全般に影響を及す。企業は野放しに普及させるか、ブロックするか、それとも安全な方法で管理しながらWeb 2.0技術がもたらす利点を享受するかの選択を迫られている」とコメントを寄せている。

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