「人が集まる場所にブランドを作る」――ソーシャルメディア活用の勘所

人々はソーシャルメディアを介してリアルタイムに情報を入手できるようになった。企業のマーケティング手法にも変化が求められる。ポイントは、コミュニティーごとに巧みに届けるメッセージを打ち分け、集まる人の関心を集めるコンテンツを企業が届ける姿勢を持つことだ。

» 2010年03月17日 10時01分 公開
[藤村能光,ITmedia]

 「ソーシャルメディアはあらがえない現象だ。(企業は)これを受け入れて、どうすればソーシャルメディアを活性化させられるかを考えるべきだ」。来日した米Edelman Digital上級副社長 分析担当ディレクターのスティーブ・ルーベル氏は、3月16日にアジャイルメディア・ネットワークが開催したセミナー「ソーシャルメディア元年 本格化するソーシャルメディアの活用」の基調講演で聴衆にこう訴えかけた。

スティーブ・ルーベル氏 ルーベル氏は、オンラインの技術やトレンドを分析し、顧客企業のソーシャルメディア戦略を立案する業務を担当している

 マーケティング活動において、TwitterやFacebook、Flickrなどを通じて情報をリアルタイムに顧客に届ける企業が出てきている。ソーシャルメディアの台頭により「人々は検索エンジンに加え、ソーシャルメディアを活用してコンテンツを入手するようになった」(ルーベル氏)からだ。

 「コンテンツ(の伝わり方)がストリーム(流れ)になっている。企業のマーケティングではどれだけ頻繁に情報を配信し、いかに人々に(コンテンツを)選んでもらうかに注意を払う必要がある」とルーベル氏。企業は、広告を主体とした従来型のマーケティングとは一線を画す手法に取り組んでいくことが求められているという。

 ルーベル氏は、ソーシャルメディアを活用したマーケティングの成功事例として、米Starbucksを紹介する。同社はTwitterで自社のニュースを顧客と共有することに加え、インドネシアやマレーシアといった地域ごとにStarbucksに関連するトピックを立て、ソーシャルメディア上で顧客と対話をしているという。人々が集うコミュニティーごとに情報を打ち分け、顧客の関心のあるテーマに訴求していくという方法だ。

江端浩人氏 「米Coca-Colaでは2009年12月にソーシャルメディアポリシーを発表し、企業としてソーシャルメディアに取り組んでいくことが奨励されている」と江端氏

 企業事例紹介のセッションに登壇した日本コカ・コーラ マーケティングオペレーションズ インターラクティブマーケティング 統括部長の江端浩人氏も、「顧客が集まる場所にブランド体験を作っていく」ことをモットーに、自社メディア「コカ・コーラ パーク」を運営していると話す。

 コカ・コーラ パークでは「Twitterやモバゲータウン、mixiと連動した(飲料製品の)プロモーション施策を実施してきた」と江端氏。1日15億杯以上が消費されるというコカ・コーラの情報を「いつでもどこでも誰にでも」(江端氏)届けることを狙いとし、親和性の高いソーシャルメディアに力を入れていく。同社では、これまでプロモーション用途で限定的に使っていたTwitterの再開も視野に入れているという。

 「どの場所でどういった内容のコンテンツが受け入れられるかを考え、各地域やコミュニティーの人が関心を持つようにタッチポイントを作る必要がある」(ルーベル氏)。企業のソーシャルメディア活用では、コミュニティーによって届けるべき情報やメッセージを巧みに打ち分け、顧客と会話を重ねていく姿勢が求められそうだ。

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