残念ながら、市場に出回っている主要な携帯電話には、キャリアが設けた制限がかけられている。Google Voiceを覚えているだろうか? AppleはApp StoreでのGoogle Voiceの配信を拒否したが、同アプリだけの問題ではない。AT&Tの3Gネットワークに接続しようとするVoIPアプリは何であれ、App Storeで配信できない(訳注:AT&TはiPhone向けVoIPアプリケーションを自社回線で利用できるようにする意向を明らかにしている)。AT&Tは、ほかのデバイスに同様の制限を課しているほかのキャリアと同じように、ユーザーが自社の携帯ネットワークではなくVoIP経由で通話することを懸念しているのだ。その不安は理解できるが、「次世代デバイス」を使うことの価値を制限することにもなる。
タッチスクリーンの魅力は大きいが、携帯電話市場の大手ベンダーは、ユーザーに「いいカメラと録画機能が付いたシンプルな折りたたみ携帯にもまだ価値がある」ことに気付いてもらいたくないと思っている。そうしたシンプルな携帯にはもちろん、いろいろな付加機能は付いていない。だが、それでも価値はある。多くの場合、このような携帯電話は市場で最も受け入れられている。
Appleが携帯電話業界に革命を起こして以来、ほとんどのライバルはAppleが自社の携帯ビジネスモデルでやってきたことをまねるだけで満足してきた。そのおかげでモバイル業界は派生品ばかりになっている。確かに、Palm PreやAndroid携帯などには新しい機能も取り入れられているが、ほとんどは似たり寄ったりだ。
BlackBerryは長い間法人市場のリーダーだったが、RIMはiPhone対抗の意向を明確にしている。だが、iPhoneがコンシューマー市場に君臨し続け、ライバルたちがその後を追えば、法人市場には何が残るだろうか? 新たに出てくる多くのデバイスが企業ユーザーにも訴求するようになるという期待は持てるが、当面は多くの端末ベンダーがコンシューマーに注力し、法人市場は「いつ恩恵を受けられるのだろうか」という疑問を抱かされることになる。
ほとんどの端末ベンダーはバッテリー駆動時間について気前のいい約束をしているが、経験から言うと、その約束が守られることはめったにない。例えばPalm Preでは、市場に出回っている新世代のデバイスの中でも最悪レベルのバッテリートラブルが起きた。実際に立ち上げの時に問題になり、多くのユーザーが苦情を訴えた。Palmはこの問題に対処したが、打撃になった。
過去1年間に携帯電話市場に登場した革新的技術の数は、目覚ましいと言えるほどではなかった。大体において、新しいアイデアを占めてきたのはマルチタスク対応ばかりだ。それに、この先楽しみにできるものはあまりなさそうだ。今のところ、ベンダー各社はどうすればiPhoneに追いつけるのかを見極めようとしている。Microsoftの次の「ビッグな」リリースであるWindows Mobile 7も似たようなものに見える。
残念ではあるが、これが携帯ビジネスだ。
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