日本信用情報機構、新制度に対応した基幹システムを構築重要な個人情報を守る

日本信用情報機構は、貸金業法に定める指定信用情報機関の要件に対応する基幹システム「STARSIIシステム」を構築した。同システムは、6月1日から稼働を開始しており、IBMのメインフレーム「IBM System z10」が採用された。

» 2009年09月03日 19時53分 公開
[ITmedia]

広域災害でもデータ確保し業務継続

 日本信用情報機構は、金融会社やクレジット各社から報告された消費者との取引に関する契約内容や返済状況などの信用情報を適切に管理し、会員各社からの照会に応じて信用情報を提供する信用情報機関だ。消費者ローンやクレジットの利用が一層身近で便利な社会となるなか、消費者が安心して利用でき、また借り過ぎ・貸し過ぎを防ぐために、消費者の返済能力を十分に把握する際の参考資料として信用情報の重要度が増している。

 2006年に貸金業法の法改正が行われ、貸金業者が消費者の総借入残高を把握できる仕組みとして、指定信用情報機関制度が創設され、信用情報として取り扱うべき項目の拡充などが定められた。日本信用情報機構では、このような要件に対応し信用情報機関としての責務を果たすため、より一層の堅牢性と柔軟な拡張性を持った「STARSIIシステム」を構築した。

 日本信用情報機構は同システムの構築に当たり、堅牢性、拡張性、柔軟性、適切なコストを要件に、さまざまなシステム構成を検討した。その結果、IBMのメインフレーム「IBM System z10」(System z10)を採用した。同製品は、標準で2個のスペアを搭載するプロセッサなど主要部品の冗長構成により高い信頼性を持つ。またデータの改ざん防止用の暗号化専用プロセッサを搭載するなど高いセキュリティ機能を備えており、IT製品やシステムがISO15408の共通基準で定める機能要件をどこまで保証しているかを表す評価保証レベル、EAL(Evaluation Assurance Level:7段階まで設定される)において「EAL5」の認証を取得している。日本IBMによれば、このレベルは軍事用レベルの高いセキュリティ水準に達していることを意味するという。

 STARSIIシステムは、日本信用情報機構のデータセンターに設置した2台のSystem z10をシスプレックス接続(IBMメインフレームのクラスタ技術。複数のメインフレームを単一システムイメージで運用する仕組み)した二重化構成をはじめ、会員企業との接続経路やゲートウェイサーバ、ネットワークなども二重化している。会員企業と日本信用情報機構をつなぐシステムコンポーネントの全体を冗長構成にすることで、障害発生時も業務サービスを止めることがないよう、日本信用情報機構のメインセンターでの事業継続性を確保している。

 STARSIIシステムでは、万が一、広域災害やメインセンターの業務継続が困難な重大な障害が発生した場合でも、最新の信用情報データを確保し速やかな事業継続を実現するために、リアルタイムでリモートサイトへ最新データをコピーする機能を備えている。リアルタイムでのデータコピーに際しては、遠隔地へのデータコピーを自動的に行うIBMの災害対策ソリューションを採用し、大阪南港にある日本IBMのデータセンターをバックアップセンターとしたビジネスリカバリーサービスを利用している。

 さらに、日本信用情報機構ではSTARSIIシステムに加え、消費者への信用情報の開示や登録情報の管理など、同社の各業務で使用しているOA環境も刷新した。統合OAシステムは2009年4月から稼働開始しており、従来分散していた各種サーバをIBMのブレードサーバ上に仮想化して統合するとともに、利用者端末の約200台の仮想デスクトップのサーバとして利用している。

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