Microsoftの新ブラウザ「Spartan」(仮)を使ってみたEnterprise IT Kaleidoscope(1/4 ページ)

開発中のWindows 10の最新ビルドにいよいよ新ブラウザの「Spartan」(開発コードネーム)が搭載された。本稿ではSpartanのファーストインプレッションを紹介する。

» 2015年04月06日 08時00分 公開
[山本雅史ITmedia]

 3月30日(米国時間)にWindows 10 Technical Preview(以下、Windows 10 TP)の新ビルド「10049」がリリースされた。ビルド10049には、Windows 10の目玉機能といえる新ブラウザ「Spartan」(開発コード名)が搭載されている。

Spartanの位置付けが明確に

 これまでMicrosoftは、Windows 8/8.1やWindows RT、Windows Phone 8/8.1、Xbox Oneなどに、Internet Explore(IE)を移植していた。しかし各デバイスの制限などもあって、Windows 8.1のIE 11と完全に互換性を持つブラウザではなかった。

 “One Windows”をキーワードにして開発されているWindows 10では、Winodws 10が動作する全てのデバイスで同じブラウザが動作することが必須だった。Microsoftは、IEとは別ブランドとしてSpartanの開発を始めた。その背景には、IEというブランド自体がWeb開発者の間であまりいい印象を持たれておらず、新ブランドの製品としてやり直したかったという事情もある。

 なぜならIEは、インターネット標準に従っていないMicrosoft独自規格を中心にサポートしていたIE 8やIE 9などの古いブラウザとの後方互換性を維持するため、HTMLエンジンのMSHTML(開発コード:Trident)を採用していた。IEのバージョンが進むにつれて複雑になり過ぎていた。IE 10やIE 11では古いIEベースのHTMLコードをサポートしつつ、新しいインターネット標準に準拠していくという努力もなされたが、GoogleのChromeやMozillaのFirefoxなどに比べるとWeb開発者の評価は今一つ高くはなかったわけだ。SpartanではIEのブランド名は使われないだろう。

 Spartanは、古いIEの互換性を排除し、インターネット標準を積極的に採用するブラウザになることが目指されている。Microsoftは、一般のユーザーにSpartanを使ってもらい、古いIE対応のWebサイトが残っている企業ユーザーにIE 11を使ってもらうという方針をとった。このため、Windows 10にはIE 11とSpartanの2つのブラウザが搭載されている。

 同社は当初、IE 11でもMSHTMLとSpartanが使用する新しいHTMLエンジン「EdgeHTML」の両方を利用できるようにする計画だった。しかし、ユーザーからのフィードバックでややこしくなるため、EdgeHTMLはSpartanのみとなった。IE 11は、今後メンテナンスモードに入り、バグやセキュリティパッチなどの提供だけになる。HTMLエンジンでの新機能の追加はSpartanが対象だ。

 また、JavaScriptエンジン「Chakra」も、Spartanでは古いMicrosoft独自規格のサポートが排除され、インターネット標準に従ったものへ改良されている。さらに、「asm.js」(JavaScriptをインタプリタで動作させるのではなくコンパイルして動作させる)をサポートしており、JavaScriptの動作が飛躍的に高速化させる。

 Spartanは、Universal Appsベースで開発されたブラウザでもある。Universal Apps化されたことで、Windows 10 for Phone/Tablet、Windows 10ベースのXbox OS上でも100%同じ動作が保証される。

Windows 10には、IEのMSTHML、SpartanのEdgeHTMLの2つのHTMLエンジンが搭載されている。EdgeHTMLはSpartanでしか利用できない
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