多くのユーザーが待ち望んでいるWindows 10のアップグレード提供が7月29日から始まる。しかし、企業ユーザーにとっては少し状況が異なるようだ。
Windows 7/8.1ユーザーに対してWindows 10の無償アップグレードが、2015年7月29日から2016年7月28日までの1年間提供される。無償での提供期間は1年と発表されているので、これが短くなることはないが、将来的にもう少し延長される可能性もある。無償アップグレードの対象はWindows Home(無印のWindows)とProだ。
企業や組織で利用されるWindows Enterpriseは、「ソフトウェア アシュアランス」(SA)での提供となるため、無償アップグレードの対象にはなっていない。SA契約期間中ならWindows 10にアップグレードできる(SA専用サイトからダウンロードする)。
今までのWindows OSは、RTM(Release To Manufacturing)の完成が発表された後、まずPCメーカーにマスターが提供され、メーカーが各種テストを行った後に、新しいWindows OSをバンドルしたPCが発売された。実際の発売日はRTM発表から数カ月後であり、アップグレード版や新規パッケージの提供も発売日以降になっていた。
しかし、Windows 10ではコンシューマー向けのアップグレード提供が最も早く、企業向けや新規パッケージ版、Windows 10をバンドルしたPCなどの発売は7月29日以降になる(本稿執筆時点でWindows 10の正式発売日は未発表)。ただ、2015年3月に中国で開催されたハードウェアエンジニア向けイベント「WinHec 2015」で、アップグレード版がISOファイルでも提供されることが明らかになっている。
Windows 10へのアップグレードでは全てのWindows 7/8.1が、オンラインでそのままアップグレードできるわけではない。
Windows 7なら、Windows 7 Service Pack 1(SP1)にアップデートした後、Windows Updateで提供されている更新プログラムをインストールしている必要がある。Windows 8.1も、Windows 8.1 Updateへアップデートした後に、各種更新プログラムがインストールされている必要がある。Windows 8はまずWindows 8.1へのアップデートが必要だ。つまり、Windows Update経由でWindows 10にアップグレードできるのは、最新の状態になっているWindows 7/8.1であり、Windows 7やWindows 8のRTM版などはISOファイルからオフラインでアップデートする形となる。
もう一つ注意が必要なのは、Windows 10ではMedia Centerの機能が提供されない点だ。このため、Windows 7、Windows 8.1でMedia Centerを使っていたとしても、Windows 10へアップグレードした後は、Media Centerが削除されてしまう。DVDの再生はWindows 10ではサポートされない。Microsoftは「何らかの方法を用意する」とは語っているが、現状では不透明だ。基本的には、Windows 10対応のサードパーティのDVD再生ソフトを購入する必要があるだろう。もしかすると、期間限定でDVD再生ソフトが無償提供される可能性もある。
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