カスタマーサクセスとは何か、どう運用すればいいのか。成功のポイントは「タッチスコア」にある。【更新】
オンライン動画プラットフォームを提供するブライトコーブは2018年7月6日、年次イベントである「Play Tokyo2018」を開催した。本稿ではマルケト バイスプレジデント マーケティング本部長の小関貴司氏とSansan カスタマーサクセスマーケティングディレクターの山田ひさのり氏によるセッションから、今日注目される「カスタマーサクセス」という概念について、Sansanの事例を軸に考察する。
情報量が飛躍的に増加している今、ユーザーの企業に対する期待値は高まり続けている。どのような顧客体験を得られるのかは、ときに価格よりも重要なポイントになる。
良質な顧客体験を求めるユーザーに振り向いてもらうためにはどうしたらいいのか。マルケトの小関氏は、「エンゲージメントマーケティング」に取り組むべきだと提唱する。
「一人一人に向けて最適なコンテンツを最適なタイミングで届けることで、信頼をベースとした長期的な関係を構築するマーケティング手法が求められる」(小関氏)
従来も「顧客中心」のマーケティングが叫ばれてはいた。しかし、小関氏によればエンゲージメントマーケティングはそれとは異なり、むしろ「顧客文脈」のマーケティングにシフトすることを意味する。「顧客の現在だけを見るのではなく、過去、未来も見ながら長期的なエンゲージメントを築いていかなければいけない」と小関氏は語る。
マルケトが提供する「Marketo」は一般的にはマーケティングオートメーション(MA)ツールとして知られるが、顧客文脈を捉えることを目指して設計された同製品をマルケト自身は「エンゲージメントプラットフォーム」と呼ぶ。そして、Marketoを活用し、顧客エンゲージメント向上に成果を上げている1社がSansanだ。
Sansanのカスタマーサクセスチームは、エンゲージメントマーケティングを体現するような戦略を実践している。
Sansanが提供する名刺管理サービス「Sansan」は、SaaS(Software as a Service)モデルを採用している。SaaSの特徴として「クラウドで提供されるソフトウェア」「サブスクリプションモデル(利用期間に応じて料金を支払うモデル)」が挙げられる。
山田氏は「サブスクリプションモデルのサービスは、カスタマーサクセスを重視するべき」だと話す。その意図は、以下のようなものだ。
「一般的なマーケティングはファネル(じょうご)型で購買をゴールにしている。サブスクリプションモデルの場合は購買がゴールではない。購買後にエンゲージメントを高め、アップセルや他のお客さまに広めていく必要がある。そのフェーズを担うのがカスタマーサクセスだ」(山田氏)
【更新:2018年8月5日12時12分 図版のキャプションに出典情報を追記しました】
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