君臨するリーダーはいない――携帯Webで迅速、正確なサービスを医療機器フィールドサービス企業の情報共有(1/3 ページ)

医療機器の設置から保守サービスまでを請け負う東京富士サービス。顧客からの修理依頼などの問い合わせに迅速に応えるために、グループウェアとWebデータベースを連動させた仕組みを構築した。

» 2008年07月22日 17時40分 公開
[杉浦知子,ITmedia]

導入前の課題

Web上で顧客データを管理する体制が整っていなかったため、顧客からの入電への対応に時間がかかっていた。3つの営業所間で情報共有ができなかった。


導入後の効果

入電後、顧客への対応時間が3分の1に短縮。拠点ごとに行っていた入電管理を中央で一括管理して、拠点間でも情報共有できるようした。


医療機器は止められない

 東京富士サービスは、医療施設を訪問し、医療機器の設置や取り扱い説明、保守、点検などを行うフィールドサービス事業を業務とする。扱う機器は、レントゲンフィルム自動現像機、デジタル画像診断システム。関東エリアに8000以上の医療施設の顧客を持ち、1万1000台以上の機器を担当している。

代表取締役 白柳剛氏

 東京富士サービス代表取締役の白柳剛氏は、医療施設を訪問するフィールドサービスを始めた背景についてこう語った。「会社が創立した当時(1975年)は、富士フイルムメディカル(国内総販売代理店)では機器販売スタッフが機器メンテナンスを兼任していました。しかし、機器の数や顧客数が増えるにつれて、すべてに手が回らなくなってきました。メンテナンス業務を専門で行うスタッフが必要になってきたので、フィールドサービスを主な業務とする東京富士サービスを創業しました」

 フィールドサービスのスタッフの仕事は、医療施設などの現場で作業することが多い。あらかじめ決まっている機器の点検や修理といったスケジュールをこなすだけでなく、急な問い合わせにも対応する。事務所で電話を受けたスタッフが、現場の担当スタッフに電話の内容を伝達し、連絡を受けた担当スタッフが顧客の対応をすることが業務の流れだ。

 フィールドサービスでは、顧客への迅速な対応が求められる。フィールドサービスの厳しさについて白柳氏は「お客様からの問い合わせが電話で入ったら、お客様番号などを聞かなくてもすぐにお客様の情報を確認し、対応できないといけません。医療施設は機械を止めることができませんから。病院名を言っただけで即対応できないと話にならないんです」と話す。

 止められない医療機器の修理依頼などの問い合わせに迅速に対応するため、東京富士サービスはITを使った社内システムの構築に着手した。紙台帳で管理していた顧客情報をオンラインデータベース化し、Web上で情報共有できるようにする。さらに、常にフィールドサービスの現場にいるスタッフと確実かつ効率的に連絡をとる。これらのシステムをサイボウズのWebデータベース「デヂエ」と「Office」を使って構築し、顧客への迅速な対応を実現した。

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